概要


前章では力学的エネルギーの流れを可視化した.そのエネルギーは方向を持たないスカラ量である.解析する上でこれは都合が悪い.スカラでは3次元空間で複雑に動く身体運動において方向の議論ができなくなってしまう.しかし,エネルギーの時間微分は力ベクトルと速度ベクトルの内積で計算できる.つまり力と速度に分解してしまえば,それらはベクトルなので方向の議論も可能だ.ここではこの利点をいかし身体運動における動力伝達のメカニズムを考える.

目次

  • はじめに
  • 力・速度ベクトルの方向の制御による最適化
    • 内力による動力伝達が運動パターンを形成する
  • スカラとベクトル
  • エネルギーは逃げやすい
  • おわりに
  • 次章に向けて
  • 参考文献
  • 注記

本記事は、note.comで公開しております

動かして学ぶバイオメカニクス#18 〜動力の力ベクトルと速度ベクトルへの分解〜



概要


全身に作用する力とトルクが力学的なエネルギーの流れをもたらすことを前章で示した.トルクと異なり,実質的な運動の効果はこのエネルギーの変化のほうが観察しやすい.ここでは,それらを可視化する方法を示すが,この方法は一例に過ぎず,示し方は工夫次第だ.

目次

  • はじめに
    • 確認した動作環境とコードについて
  • スティックピクチャにエネルギーの流れを示す
    • パッケージの読み込み
    • クラス・関数の修正
    • スティックピクチャ
    • エネルギーの流れの可視化
    • 流れの可視化のコード
  • 解析例1:飛び降りバランス動作
    • 計算の準備
    • 解析
    • l
  • 解析例2:投球動作
    • 解析

本記事は、note.comで公開しております

動かして学ぶバイオメカニクス#17 〜動力伝達の可視化〜



概要


特にロボットの運動との対比を考えると,恐らく身体運動を最もヒトたらしめるものは効率で,運動を行う上でこの呪縛からは逃れられないだろう.ただし,身体の運動における効率を考える上で,一般に機械工学などが定める効率の定義は役立たない.ここではエネルギーの時間微分が力と速度の内積で記述されことを利用して,身体運動における効率を考えるいとぐちについて述べていく.

目次

  • はじめに
    • 運動の拘束
    • 緩い拘束
    • 動力の生成と伝達効率:効率と抵抗
  • 質点と多体系の力学的エネルギーの時間変化と動力伝達
    • 質点の場合
    • 力学的エネルギーから導く仕事率
    • 多体系(2リンク機構)の場合
    • 関節に作用する力はエネルギーのトンネルを形成する
  • 身体運動における力学的エネルギー変化の物理的意味
    • スポーツの運動と日常の身体運動
    • エネルギーの蓄積
  • 次章について
  • 補足
    • 補足1:質点の力学的エネルギーのベクトル表記
    • 補足2:剛体の力学的エネルギーのベクトル表記
    • 補足3:力学的エネルギーの時間微分
    • 補足4:スカラー三重積

    本記事は、note.comで公開しております

    動かして学ぶバイオメカニクス#16 〜動力の伝達〜



概要


今回は数理的な話題はお休みとし,アニメーションを動かすようにインタラクティブにデータを表示する方法を示す.アイデアやPythonの知識次第で,いろいろな表示方法が可能だろうから,ここから読者の便利なツールとして発展させるきっかけになってくれればと思う.

目次

  • はじめに
    •  
    • 確認した動作環境とコードについて
  • スティックピクチャを動かす
    •  
    • パッケージの読み込み
  • Animation 1(飛び降りバランス動作)
    •  
    • 準備・データの格納
    •  
    • 解析例1
    •  
    • スティックピクチャ
  • Animation 2(投球動作)
    •  
    • 準備・データの格納
    •  
    • 解析例
  • 補足
    •  
    • 補足1:内包表記
  • 今後の話題について

本記事は、note.comで公開しております

動かして学ぶバイオメカニクス#15 〜3Dでスティックピクチャを動かす〜



概要


多体系の合成の「ニュートンの運動方程式」の物理的意味は明瞭である.もし床反力が身体に作用しているなら,床反力が操作できる唯一の外力となり,それは身体重心の加速度で定まり,全身の運動の仕方を拘束する.

一方,「オイラーの運動方程式」から関節に作用するトルクの意味を考えるためには,同様に合成の運動方程式を導く必要がある.しかし,これまで示した合成の回転の運動方程式には並進力が式に混在し,この式ではトルクの物理的意味がわからない.そこで,並進のダイナミクスと同様に,回転の合成の力学でも慣性力と重力加速度だけで記述できる形式に落とし込む.そして,そこから身体運動における回転のダイナミクスの重要な性質が見えてくる.これはトレーニングにおいても重要な考え方の根幹となるだろう


目次

  • 訂正のお詫び
  • はじめに
    •  
    • 関節に作用するトルク
    •  
    • 合成の運動方程式
    •  
    • 合成の回転の運動方程式の導出
    •  
    • コードとしての合成の運動方程式
  • 身体運動における関節のトルクの意味
    •  
    • 回転の慣性力は小さい方が良い?
    •  
    • トルクは姿勢で一意に定まる
    •  
    • vs トルクの関節運動還元主義
  • 動かして学ぶ関節のトルクの計算と意味
  • おわりに
    •  
    • 今後の話題について
  • 補足
    •  
    • 補足1:力のモーメントとトルク
    •  
    • 補足2:先細り構造
    •  
    • 補足3:トルクの関節運動還元主義
  • 参考文献

本記事は、note.comで公開しております

動かして学ぶバイオメカニクス#14 〜関節に作用するトルクの物理的意味〜