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クォータニオン(quaternion)は四元数(しげんすう)と呼ばれ,2次元平面の回転を表現する「複素数の拡張」として,3次元の回転を表現することができます.なお,ただのクォータニオンはそれだけでは回転を表現しません.大きさが1という拘束のある単位クォータニオン(オイラーパラメータ)によって回転を表現します.

したがって,クォータニオンで成立する演算が,オイラーパラメータで成立するとは限らないので注意しましょう.

クォータニオンの幾何学的な意味は「ロドリゲスの式からクォータニオンへ」などで述べましたが,ここでは,クォータニオンの演算について,その一部を述べていきます.

なお,以下の性質はオイラーパラメータ(単位クォータニオン)だけでなく,一般的なクォータニオンで成立する性質であるため,ここでは,2つのクォータニオンqaqb



を使いその性質を表していきます.なお,ここでは,スカラ部とベクトル部の形式和を「+」で表す(qa0 + qav)の形式ではなく,上記のような括弧を使った表現方法を便宜上使用します.


3次元空間の回転を表すロドリゲスの式が,複素数平面で2次元の回転を表現するオイラーの公式の幾何学的な拡張になっていることを「クォータニオン2:オイラーの公式からロドリゲスの式へ」で示しました.

ここでは,さらにこのロドリゲスの式と,オイラーパラメータ単位クォータニオン)との関係について述べていきます.

オイラーパラメータ(単位クォータニオン)の導入

オイラーの公式によって表現される2次元回転は,同じ「指数関数」表現によるロドリゲスの式によって3次元回転へ拡張できることを述べました.オイラーの公式では,虚数を含む指数関数でしたが,3次元では[n x]という歪対称行列という行列に拡張されています.

そこで,次にオイラーの公式の右辺に着目します.右辺は複素数を用いて表現していますが,同様に3次元の回転でも,複素数の概念を3次元に拡張する必要があり,それが,クォータニオンに相当します.ただし,回転を表現するためには,ただのクォータニオンに大きさが1である球体の拘束があることに予め気をつけておく必要があります.

そこで,オイラーの公式



の虚数単位 i を3次元に拡張します.


3次元の物体の回転は「ロドリゲスの式」に示したように,ひとつの回転軸 n と回転角度θで表すことができます.
これは,2次元平面の回転を表すオイラーの公式(クォータニオン1:複素数とオイラーの公式)において,複素数に虚数 i をかけることによる,複素平面上で90度の回転に相当します



そこで,このロドリゲスの式が,2次元平面の回転をあわわす「オイラーの公式



と類似性があることから,これとのアナロジーで3次元の回転を考えます.


オイラーパラメータ(単位クォータニオン)は3次元の姿勢や回転を表現する上で,優れた記述方法です.

ここでは,その数学的なアイデアのもととなった,2次元平面の回転を表す複素数オイラーの公式について,述べていきます.この概念をしっかりと理解しておくことが,オイラーパラメータで回転を計算する上で役立つはずです.

実数の世界

複素数回転が関係すると言っても,なかなかピンとこないかもしれません.

その前に,ここでは,まず,一直線を表す数直線を示します.


数直線


このように数直線は,図の左右の位置を表すことができます.

複素数と複素平面