概要


フォースプレートで直接計測される力学量は力と力のモーメントで,これらは身体と地面(フォースプレート)間の相互作用で発揮される力である.そこでフォースプレートの代わりに身体側から相互作用の力とトルクを推定できれば,関節に作用するトルク,COP,摩擦による鉛直モーメントも計算でき,原理的にはフォースプレートいらずの力学計算が可能となる.これを理解し実現するため,ここでは角運動量ベクトルの物理的意味に注目する.

目次

  • はじめに
    • 合成の角運動量
    • 合成の角運動量と地面間に作用する外力
  • 運動量と角運動量
    • 運動量
    • 角運動量
  • 全身の回転の運動方程式
    • 全身の運動量
    • 各部位の角運動量
    • 合成(全身)の回転の運動方程式の慣性力項
    • 全身の回転の運動方程式の外力
    • COPと鉛直軸まわりのモーメント
  • まとめ
  • 補足
    • 補足1:内力と外力
    • 補足2:身体各部の慣性モーメントモデル
    • 補足3:ニュートン・オイラー法との整合性
    • 参考文献

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動かして学ぶバイオメカニクス#22 〜全身の角運動量とCOP〜



概要


こでまでのエネルギーに関する議論では,エネルギーの流れを可視化し(第16章),さらにその流れを構成する力ベクトルと速度ベクトルに分解した(第18章).第19章ではエネルギーの流れを構成する力と速度から,流れの抵抗(インピーダンス,力と速度の比)を導入した.ここでは,実際の運動中の力と速度の関係図を示す.

目次

  • はじめに
    • 関節と筋の力学特性
    • 関節に作用するトルクと角速度特性
    • トルクと角速度の座標変換
    • 確認した動作環境とコードについて
  • トルクと角速度による関節のインピーダンスの可視化
    • スライダーバーによる動画:右肩関節の内外旋の相対角速度とトルク関係
    • アニメーション:腕に力学的エネルギーの時間変化(仕事率)も可視化
  • 次章について
  • 補足
    • 補足1:解剖学的な用語と身体に固定された座標軸

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動かして学ぶバイオメカニクス#21 〜関節のインピーダンスの可視化〜



概要


紹介したPythonコードを確認したいが,Pythonの開発環境を整えることまでされたくないという方のために,このシリーズではコードをGoogle Colaboratoryで確認できるようにしている.ただし,紹介したコードを実行するためには,モーションキャプチャやフォースプレートのデータが必要となる.これらをダウンロードし,Google Colaboratoryで利用する方法を補足しておく.

目次

  • Google Colaboratoryとは
  • Google Colabの利用方法
    • 1.セルの実行方法
    • 2.Google Driveのマウント
    • 3.ファイルパスの設定
  • Google Colab以外での実行方法
  • Google Colabratoryの複数セルの実行方法
    • 複数セルの選択と実行方法

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動かして学ぶバイオメカニクス#20 〜Google Colaboratoryの使い方〜



概要


大きな力を与えれば与えるだけだけ速度が大きくなると考えがちだ.しかし,暖簾に腕押しの状態では力は「有効に」伝わらない.エネルギーの伝わり具合は,その運動の「状態」に強く依存する.ここでは状態に応じたエネルギーの「流れやすさ」を記述し,効率よく伝達するための「流れやすさ」の変換方法などについて述べていく.

目次

  • はじめに
  • 身体運動におけるインピーダンスマッチング
    • インピーダンスとは
    • 小林の身体運動におけるインピーダンスマッチング
    • パワーマッチング
    • 筋力からトルクへ
    • トルクから(外)力へ
    • 姿勢とトレーニング
  • 滑らかな運動とインピーダンス
  • おわりに

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動かして学ぶバイオメカニクス#19 〜身体運動におけるインピーダンスマッチング〜



概要


前章では力学的エネルギーの流れを可視化した.そのエネルギーは方向を持たないスカラ量である.解析する上でこれは都合が悪い.スカラでは3次元空間で複雑に動く身体運動において方向の議論ができなくなってしまう.しかし,エネルギーの時間微分は力ベクトルと速度ベクトルの内積で計算できる.つまり力と速度に分解してしまえば,それらはベクトルなので方向の議論も可能だ.ここではこの利点をいかし身体運動における動力伝達のメカニズムを考える.

目次

  • はじめに
  • 力・速度ベクトルの方向の制御による最適化
    • 内力による動力伝達が運動パターンを形成する
  • スカラとベクトル
  • エネルギーは逃げやすい
  • おわりに
  • 次章に向けて
  • 参考文献
  • 注記

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動かして学ぶバイオメカニクス#18 〜動力の力ベクトルと速度ベクトルへの分解〜